2019/09/24

VOICE 61 アトピー性皮膚炎

 乳児期からのアトピー性皮膚炎で、顔(左半分)、腕、脇腹、背中などが、じゅくじゅくしたり、カサカサになったり、かゆみを伴ってずっと荒れた状態であったが、小学校高学年になるにつれ、おさまるどころか、益々その症状が悪化していくように見られていた。顔はまるでロウを塗ったような皮膚感。

 皮膚科に通院し、飲み薬と塗り薬を処方されていたが、中々改善されず、かゆみから我慢出来ずかく→皮膚が傷つく→出血する→痛がゆい→かく…の悪循環。入浴時はかなりぬるい温度でしか入浴も出来ない。就寝時は体温が上がるので、一層かゆくなり、寝ていても無意識にかいてしまい、出血し、布団カバーやシーツは血だらけ。それを見て自己嫌悪の毎日…。顔を隠す事は出来ないが、腕などは見られないようにと、なるべく長袖の服を着ていた。

 その後、小学校6年生の修学旅行を翌月に控えた6月、東方鍼灸院の治療にかけてみよう!と思い来院(2009年当時)。治療が始まって、ほどなくして顔に血の気が戻り、あのうすくロウを塗ったような皮膚の感じが消失(当日)。本人にも手鏡でその変化を見せると笑顔になった。こんなに早く変化が見られるのならもっと早く来ていたらよかったのに、と思いながら通い続けると、あれよあれよの間に、ごわごわしていた皮膚や無数のかさぶたが、ものすごい勢いではがれ落ち、下から新しい奇麗な皮が生え変わるように現れて来た。一晩寝るごとに、はがれ落ちる量はすさまじく、朝起きてベッドから出るとパジャマからサラサラ、パラパラと落ちてくるし、シーツの上には大量の皮膚片があって驚いた。

 鍼灸治療のおかげで皮膚はすっかり新しく生まれ変わり、あのロウを塗ったような皮膚感も、ごわついた感覚もかさぶたも消失し、7月上旬、笑顔で修学旅行へ。記念写真も笑顔だった。当時から10年以上が経過するが、「あれ(鍼灸治療)は劇的だった!」と本人は言っている。私も鍼灸治療のおかげで普通に暮らせるようになったことに感謝している。
2019年 小学生6年生の母(2009年来院時の手記)

2019/09/13

VOICE 60/視力

 小学2年生の進級を待っていた昭和18年3月、私は麻疹にかかった。高熱が続き、目やにがたくさん出た。毎日、ホウ酸を溶かした微温湯で目を洗っていた記憶がある。4月末、やっと投稿した私の視力は極端に落ちていた。しかし、外見は目の様子が普段と変わらなかったので、母は「目がよく見えない」という私の言葉を信じなかった。

 高校進学を控えた3月、やっと母は私を眼科医へ連れていってくれた。医師の「弱視じゃないか」という言葉に仰天した母の顔を今も覚えている。しかし、医師は訂正し、「弱視ではないかも知れない。よくわからないけれど、強度の近視ということにしておきましょう」と言ったのである。現在の機器ではこれ以上詳しく測定出来ないので、と延べた医師は、左目0.01、右目0.02と告げた。その帰途、私はやっと眼鏡を買ってもらえたのだった。

 その後、何度か眼鏡を買い替えた。左右の視力が違うので両眼に合う眼鏡が作れず、度数が進んでしまうのである。30歳になった年、眼精疲労でひどい頭痛を起こした私は眼鏡をかけることが出来なくなってしまった。私は眼科医のところへ駆け込んだ。医師は私にコンタクトレンズを勧めてきた。私のように左右の視力が異なる人のために開発されたものと説明され、使用することとなった。目に装着した途端、ひどかった頭痛が消失し驚いた。そして私の世界は一変した。それまで、ぼやけた周囲が明るく美しく光にあふれ、何もかもがはっきりと見えたのである。その後、運転免許も取得した。

 コンタクトレンズって素晴らしい。良い事ばかりに思えたが、実は困った事が一つあった。室内にいる時は良いのだが、外出時にゴミが入ってくるのである。痛くて涙を流しながら歩く事も少なくなかった。困った私はハードレンズからソフトレンズも試してみたが、私には水中で目を開けているようで合わなかった。

 痛みの無い眼鏡に戻りたいと思いつつ、20年以上経過した50代半ば、知人から不思議な話を聞くことになる。ご主人が通院している鍼灸院で多くの児童達を見かけたが、なんと近視治療をしているという話だった。近視が鍼や灸で良くなるなんて、まさか、と思ったが私はこの話にとびついた。それが東方鍼灸院との出会いだった。

 施術当日、私は古い眼鏡を持参した。コンタクトレンズを使用していたため、不要になった眼鏡である。夜はコンタクトレンズを外すと周囲が見えなくなるので、小さいものなどは誤って踏みつけたり、蹴飛ばしてしまう。もし地震等の災害時には動けなくなるだろう。そんな時のために枕元に常備していたものだ。初めての施術が終わり、コンタクトレンズを装着しようと思った私は、「どこかに水はありますか?」とたずねた。先生は「眼鏡をかけて帰ってだいじょうぶですよ。」と仰った。まさか、と思ったが、帰宅途中でコンタクトレンズを装着すればよいと思い、戸惑いながらも眼鏡をかけて鍼灸院を出た。

 ところが、である。外に出て道を歩き出すと、向こうから歩いてくる人々の顔の目鼻立ちがはっきり見えたのだ。驚きを隠せなかったが、自宅まで車で40分ほどの距離をなんと古い眼鏡をかけたまま運転し、無事に着いてしまったのである。それ以来、一度もコンタクトレンズを使用していない。想像を遥かに超えた鍼灸治療の凄さを感じた。まさに奇跡である。

 その後、新しい眼鏡を作りに行ったお店で、視力測定をしてくれた店員さんは「本当にこの眼鏡でみえたのですか?」と言い、信じられないという顔で私を見つめた。信じられないのも無理はない。当事者の私でさえ、どうしてこんな事が起きたのかわからないのだから。でも、嘘だったら、どうして眼鏡を新調する必要性があったでしょうか?新しい眼鏡は軽いプラスチック製で1日中かけていても、コンタクトレンズと違って負担にならないのが嬉しかった。

 東方鍼灸院の施術は私にとって不思議な事が多かった。ツボの名を言いながら私の身体に触れると、その箇所の痛みに悲鳴をあげてしまう事も多かった。その後、1つか2つのツボに鍼を刺すと、再び前述のツボに触れるのである。そうするとウソのように痛みが消失し、あまりの早さに「あら、なおっちゃった」と言って先生と2人で笑ってしまうことが多々あった。たった1本の鍼で全ての痛みが消えてしまう不思議。現在は王不留行という漢方薬の種子や、皮内鍼を使用し「刺さない鍼」が特徴となっているが、効果は同じだ。現在、83歳になる私は今もあちこち病んでいて、そのたびに東方鍼灸院のお世話になっている。

2019年 帯広市 女性